HOME > Road to Quality of Life > 叶えたいライフの選択肢を、もっとグローバルに
「私たちの仕事は、世界の文化を伝え、豊かな選択肢をお客さまにご提供すること」ーーー。 プジョー、シトロエン、ルノー、フィアット/アバルト、ジープ、アルファロメオ、BMWといった世界各国の自動車ブランドを届ける株式会社タカサワで、長年に渡ってカーライフサポートを務める統括店長の仕事にかける思いを紹介します。
株式会社タカサワでは、プジョーやシトロエン、ルノー、ジープ、フィアット/アバルト、アルファロメオ、関連会社ではBMWと、長野県や山梨県で7社のカーディーラーを経営しています。私たちの仕事は、自動車を販売して終わりではありません。ライフプランに合った提案とメンテナンスを通して、お客さまのカーライフを末長くサポートする仕事です。高い専門性をもつブランド直営のカーディーラーでもあることから、「どんなことでも安心して相談できる」と信頼していただくことも大切にしています。
そのため、親御さまからお子さまの車もお願いしたいと相談を受けたり、さらに年月を経てお孫さんも、と世代をこえたお付き合いをさせていただきます。車を通じてお客さま一人ひとりの人生に寄り添えることが、この仕事の何よりの魅力です。
輸入車の魅力は、製造国の文化や習慣、物事の考え方が車づくりに大きく反映されている点でしょう。フランス車なら、プジョーやシトロエン、ルノーなどがあります。
車に限定しないで考えると、フランスにはシャネルやルイ・ヴィトン、エルメスなど上質なブランドがたくさんあります。これらのブランドはどれも上品で、時代をこえて生き続けるよさがあります。メンテナンスもできるので、手入れをしながら次の世代へと引き継いでいくこともできますよね。
フランスのものを例にしましたが、世界のものづくりにふれることは私たちの視野を広げ、暮らしに新しいエッセンスを与えてくれます。車も同じように、長く愛用するものであり、一生のうちにそう何度もない大切な選択。海外の文化やものづくりへの思いを深く知るきっかけになり、ライフスタイルにも変化が生まれて、人生をより豊かにしていくことにつながると感じているのです。
だから、私たちはもっともっと頑張って、魅力をお伝えしていかないとですね(笑)。その結果、いろいろな輸入車が街を走り、選択肢が地域に広がっていることを感じられたら何よりうれしいです。
そうですね、私が自動車を好きになったきっかけから思い返すと、一番はじめは中学時代の先生が乗っていた〈フォルクス・ワーゲンのビートル〉ですね。あと、ドラマ『ロングバケーション』で山口智子さんが乗っていた赤い〈ワーゲンゴルフ1〉も。かっこよくて、いつか自分も輸入車に乗りたいと思っていました。懐かしいですね(笑)。
成人してからは、短大卒業後に予備校の職員の仕事をすることにして、長野県に帰ってきました。でも当時はまだ、学歴社会かつ、男女が等しく働けるような時代の価値観が今ほどなく、女性はお茶汲みなどの雑用ばかりで…。一人ひとりの能力や個性よりも、性別による労働格差が色濃く、私は肩を落としていましたね。そんな時にたまたま求人募集のお知らせを見かけて、入社することにしたのがドイツ車を扱うカーディラーでした。
その求人欄には、性別や年齢の要望がなかったんですね。そして、いざ働きはじめると、性別に関係なく責任が与えられましたし、結果を出したら対等に評価されましたから。むしろ私から率先して重いタイヤを運んだり。私らしさをいかして働けることに、大きなやりがいや楽しさを感じて、いつしかこの仕事が本当に好きになっていました。
しかしながら数年後、会社の都合で、全社員が退職もしくは関連企業に移籍しなければいけないというまさかの事態に。当時、私には長野県内におよそ800人のお客さまがいました。それなのに、会社の都合できっぱりサポートをお断りしなければならない。これにはお客さまに対する申し訳ない気持ちと不甲斐なさを抱きました。葛藤の日々でしたね。
そんな状況を知った株式会社タカサワやほか数社から「うちの会社に来ませんか?」とお誘いをいただきましたが、「これまで私や会社を信頼してきてくださったお客さまのことも、一緒に働いてきた社員のことも、裏切りたくない」という思いが頭の中を巡っていました。
繰り返しになりますが、カーディーラーの仕事は販売することだけに終わりません。何年も続くカーライフですから、安心して楽しんでいただけるよう、修理や点検などあらゆる面での長年のサポートが欠かせません。そのため、安定した経営母体やノウハウがなければ、続けることは困難です。前の会社の進退を目の当たりにして、「お客さまを裏切りたくない」という思いがありましたから、そう簡単にお誘いをお受けすることはできませんでした。
そこで各企業のことをよく調べたんですね。中でも株式会社タカサワの母体である高沢産業は、総合商社として多角的に事業を展開している実績があり、信頼がおけました。離職する社員もほとんどいない。定年まで社員の生活を支える体制も整えられた会社である、と。
そして、お誘いくださった当時の事業部長と会話を重ねていく中で、経営ノウハウ以上に人を見て、社員の人生を大切にしていることを強く感じました。さらに一緒に働いてきたスタッフ8名を受け入れることも承諾してくださり、「タカサワは人を裏切らない会社である」と心を打たれ、2013年に移籍することを決心したんです。
株式会社タカサワに入社して2021年で8年目になりますが、お客さま一人ひとりに思い出深いエピソードがありますね(笑)。私たちはお客さまに車をお届けする瞬間をとても大切にしていますから。たとえば、私たちは、納車日にお客さまのイメージや好きな色などを盛り込んだ花束を用意。スタッフ全員がお客さまのもとに集まり、一人ひとり挨拶をしていきます。たとえるなら結納のようなものでしょうか。きちんと顔合わせをして、これから長く続くご縁を祝福し合います。
実はこの納車式で、プロポーズされたお客さまもいらっしゃいました。もちろん彼女には内緒で用意していたそうです。知っていたのは彼と担当セールスだけ。私たちスタッフも全員おどろいて、その場に居合わせたお客さまたちと「おめでとう!」と祝いました。弊社のマネジャーは感極まって泣いていましたね(笑)。このようなあたたかいエピソードがたくさんあります。
私たち社員一人ひとりが、こういう瞬間を心から大切にしていなければできないことです。人を大切にしようとする思いがあるかどうかは社員に伝わり、お客さまには見えます。株式会社タカサワを信頼してよかったです。
思い返せば、株式会社タカサワへ移籍した当時のこと。私が担当していた800名ほどのお客さまは、150名に減りました。そもそも扱うブランドがかわり、多くの方はドイツ車ブランドが好きで、たまたま松本久美子という人間が担当していただけのことですから、当然のことです。その事実を痛感せざるを得ませんでした。しかし一方で、この150名のお客さまとの出会いが、この仕事をやめなかった大きな理由なんです。
150名のお客さまは「松本さんから車を買いたいから来たよ。あなたが勧めてくれる車を教えて」と私を頼りに来てくださいました。ブランドも会社も違うのに、私を信頼してくださる方がいる…。今までやってきたことが無駄ではなかったと気づいた時には、涙が出るほどうれしかったことを覚えています。これからもお客さまに信頼していただける存在でありたいと心に決めた瞬間でしたね。
私が統括店長としてするべき役目は3つあります。ひとつは人材育成です。一緒に働いている若いスタッフが、10年後も20年後も毎日楽しく、お客さまのために仕事を続けられる教育機会をつくり、CSの向上を図りたいです。
2つ目は市場責任を果たすことです。「輸入車のタカサワ」として磐石のカーライフサポートと実績を築いていかなければ、経営を続けられず、お客さまのサポートができませんから。いい時は輸入車の30%のシェアがあります。これは長野県でナンバーワンと言われておりますが、プジョーやシトロエン、ルノーの3店舗は伸びしろがもっとあると感じています。まだまだニッチなブランドではありますが、この市場シェアを拡大することが使命です。
そして最後はやはり、経営黒字を続けることです。
これらが私の課題であり、定年までに残された日々の中で達成し、若い世代にバトンをつないでいきたい。私は、今年(2021年)で自動車販売の仕事に従事して30年目になるんです。一緒に働く仲間や会社に対して、何かしらの恩返しをしていく。それが私の役目であり、残された時間で大切にしていきたいことです。