HOME > Road to Quality of Life > 総合商社の商品力と提案力で時代の先へ挑む福祉事業
長野県で4軒目となる福祉施設〈リゾートタウン ふれあい波田〉を2022年秋にオープンさせた「タカサワ通商」。これまでに、オフィス設計やシステム導入支援などの総合商社としての営業力を活かし、福祉用具の販売に裾野を広げ、次世代型のまったく新しい福祉施設を築いてきました。「他社にはできない福祉事業をやる」という志で、人を想い、挑み続けてきた3人の軌跡を紹介します。
小澤 慶信(以下、小澤):1981年に設立された「タカサワ通商」 は、オフィス製品(オフィス家具・OA機器・事務用品・オフィスサプライ用品など)の販売、印刷業、内装仕上げ、店舗・物流什器の設計施工など多様な事業を展開してきました。1990年代後半から長野県で社会福祉制度が整備されるようになると、福祉用具の販売にも裾野を広げ、福祉事業をスタート。2011年に松本市島立の福祉施設〈ふれあい荒井荘〉が設立され、その後〈ふれあい征矢野(そやの)〉〈ふれあい新橋〉と続き、2022年秋の〈ふれあい波田〉で4軒目の福祉施設となりました。
小澤:私は2011年に〈ふれあい荒井荘〉の施設長に任命されて、立ち上げを推進していくことになりましたが、正直、はじめのうちは「タカサワがやっても、うまくいかない」と批判的な声もたくさん受けました。オフィス機器やインテリア、福祉用具の営業販売の経験があっても、福祉施設の運営は初の試みでしたから、当然ですよね。しかし、高齢者の方にとって居心地のいい場所をつくりたいという一心でした。その頃は休む間も惜しんで、施設運営のことばかり考えて奔走していましたね。その時期から一緒に動いてきたのが、我々3人です。
丸山 吉孝(以下、丸山):私も、もともとパソコンを中心としたオフィス機器の導入支援に携わっていたので、福祉施設ははじめてのことでした。ただ、オフィスのインテリアや空間設計のノウハウを活かして「どうしたら高齢者にとって使いやすい場所になるか」を考えながら進めていきました。
百瀬 朋美(以下、百瀬):最初は手探りでしたが、2軒目の〈ふれあい征矢野〉に続いて、3軒目の〈ふれあい新橋〉では新しいことにも挑戦しましたね。
小澤:我々は、もともとが営業職の人間なので、何事においても「差別化しないと勝てない」という想いがあります。〈ふれあい荒井荘〉〈ふれあい征矢野〉で第一に考えたのは、利用者様の満足度。次の〈ふれあい新橋〉で大切にしたのは、「職員にとっても居心地のいい場所にする」ということでした。
時代背景も変わり始めていて、福祉業界の働き手が少ない・離職率が高い・定着率が低いという問題が、全国的に顕著にあらわれてきた頃で、いち早く先見性をもって考え方を変えたんです。職員が働きやすければ、サービスも向上し、結果的に利用者さんにも還元できるはずだと。
丸山:〈ふれあい荒井荘〉で実践してきたことを振り返りながら、改善すべきところ・伸ばすべきところを検証していった感じです。
小澤:検証を重ねていくうちに、いわゆるCS(顧客満足)から、職員にとっても満足度の高い施設づくりを目指すようになりました。中でも改善すべき点として大きかったのが、夜間の見守り。これが福祉の現場で、かなりの負担になっていることに着目しました。
百瀬:見守りは、ひとりずつ巡回すると、かなりの時間がかかります。少人数で夜勤についているので、ひと回り終えて、また回るということもしばしば。本当に手をかけたい人に時間をかけられないという心的苦労や万が一の不安がなくならないので、職員も休まらない。結果的に、働く上でのリスクが大きくなっていたんです。
小澤:そこで導入したのが、見守りシステム。導入には2年ほどかかりました。イメージしているものを探して、いくつもの展示会に足を運び、メーカーと交渉して、今のシステムに行き着きました。ただ、こういったシステムの導入は失敗が許されないから、通常の福祉施設だとそう簡単に投資できない。そこを我々は先行して、商社としてのネットワークを活かして、〈ふれあい新橋〉で実践しながら導入検証を重ねました。
丸山:福祉用具の営業として培ってきた商品力、オフィスインテリアや空間設計など「タカサワ通商」の提案力を多角的に盛り込んだ施設になりました。〈ふれあい新橋〉での成功事例をもとに、〈ふれあい荒井荘〉にも導入し、他社様の施設へ導入する際の手立ても考案していきました。
小澤:総合商社「タカサワ通商」として我々がもつ「幅広い商品力」と「総合的な提案力」。ここから枝葉を広げて多様な可能性を追求していきました。「福祉の業界に風穴を開ける」と言っては大袈裟ですが、先見性をもって新たなシステムを導入し、実践検証できる柔軟さが我々の強み。そこを活かして地域に貢献できる福祉事業の在り方を模索していきたいと、考え続けて今に至ります。
利用者さんも職員も居心地がいいと思える空間にするためには、システムが大切なんです。たとえば、福祉施設の痛ましい事件や虐待などの問題がありますよね。なぜあのような事件が起こるのか? 当事者の心理的変化が負のスパイラルに陥る前に、環境の変化で防げるはずなんです。職員の行動がオープンになっていたり、インカムで声をかけ合えたり、見守りシステムで業務の負荷を軽減したり、空間の雰囲気を明るくすることも然り。システムの工夫をすれば、人と人の関わりが良好になり、職員の負担が軽くなり、良い施設になる。今後はさらに、実践的に検証して培ってきたシステムのノウハウを、福祉業界全体に共有していきたいんです。
小澤:よく「モデルケースを世に発信したい」という話を社内でしています。我々は「次世代型有料老人ホーム」と呼んでいますが、新しい仕組みを取り入れて、世の中の福祉施設に対しても影響力のある牽引役を担っていきたい。だから、施設見学には同業者の方にもお越しいただいて、フルオープン、惜しみなく説明しています。
小澤:我々がよく言っているのは「福祉というキーワードを取っ払おう」ということ。だから、施設名は「リゾートタウン」。食堂は「レストラン」。
たとえば、レストランのテーブルクロスは、我々の福祉施設の特徴的な点かもしれません。普通の施設だったら、テーブルクロスは敷かない。しかし、我々が提供している空間はレストランなんです。だから、利用者さんをもてなすサービスとして、テーブルクロスをきれいに敷きます。海外の福祉施設では、テーブルクロスがない施設は、減点されるケースもあります。なぜなら、人間の尊厳に欠けるからと。海外では、最低限のマナーとして、テーブルクロスを採用することが通例になっているんです。
空間も、普通の建設業者では採用できないような、一風変わったしつらえを取り入れています。壁紙の色使いやサイン、エントランスの売店など。あとは、百瀬が着ているユニフォームも。
百瀬:ここの施設は〈リゾートタウンふれあい波田〉なので、リゾート感を味わっていただけるように、スタッフのユニフォームにアロハシャツを採用しています。前掛けのエプロンも、施設ごとに違うんですよ。
小澤:それから、浴室にも工夫をしています。「タカサワ通商」では、大浴場を採用していません。すべての施設で個室浴を採用しています。スタッフのオペレーションを考えたら、大浴場でなるべく効率よく、たくさんの利用者さんに入浴していただく施設も多いですが、当社では「利用者さんのプライベートを尊重したい」という想いから、個室浴を計画しました。カテーテルがあれば、見られたくない人もいます。感染症や疾患のことも考えると、個室の方が良いだろうと考えて導入しました。転倒のリスクも減らせるだろうと。
百瀬:実際に導入してみたら、オペレーションもうまくいきました。入浴時間の組み合わせを、うまく工夫すれば、決して難しいことではなかったんです。導入する前は、私も大浴場に慣れていたので、本当にうまくいくか、わからないところもありましたが、慣れれば、個室浴のほうがメリットが多いということがわかりました。
小澤:複数の浴室を横並びにして、スライド式の扉で区切りました。ここがちょっとした工夫で、職員が簡単に往来できる。清掃のときには、開放して、スムーズに業務を進められるんです。人の組み合わせや入浴時間の設定は、百瀬やスタッフのノウハウでうまく構築できるようになっています。
百瀬:自律的に入浴できる人と援助が必要な人を組み合わせたり、状況が変わったらスタッフミーティングをして組み直したり。コミュニケーションの部分で十分に改善できたんです。
小澤:「福祉のキーワードを取っ払おう」と考えても、安全性の徹底、確固たる既存のやり方があるから、なかなか挑戦できないことも多いと思うんです。その点「タカサワ通商」は、少数精鋭で判断していくから、小さな検証を何度も重ねながら、確度を上げていけるんです。普通の施設で、新しいシステムを入れようと考えても、失敗が許されないから挑戦的な選択はできない。どうしても新しいことには「待った」がかかりますよね。でも、挑戦していかないと、より良いものはどうしても生み出せないと思っています。
丸山:その点で「タカサワ通商」は、デモ機を導入できたり、メーカーサイドと密に意思疎通を図れたり、福祉用具に関する深い知識があったりするので、現場レベルの視点で実践的な検証ができます。その土台が固く、さまざまな挑戦をしていけるのが大きいです。
小澤:後世に残せる施設運営形態を目指し、先見性をもって生き残っていく術を身につけていかないと、淘汰されてしまう。だから臆せずチャレンジしていこうと話しています。 でも、チャレンジには、抵抗がつきものです。〈ふれあい新橋〉で導入するときも、最初は反対されました。大手福祉施設運営会社への導入のときにも、最初は「面倒くさい」「使えない」と、現場の職員から批判的な声が出てきました。でも、こういうシステムはただ導入しただけでは、当然使えないわけです。だから、我々は現場に入って、職員から上がってきた不満をすべて聞き取ります。他社さんへの導入支援の際には、主任クラスの権限をくださいとお願いして、施設長や上層の方たちと密にコミュニケーションを交わしていきました。現場に入り込んで、愚痴や不満をすべて聞いていくんです。そうすると、半年くらいで使い慣れてきて、不平不満もなくなり、我々の役目はなくなります。あとは職員の方たちが自律的に考えて、うまく使ってくれるんです。
小澤:今は、さらに食事をおいしくするためにできることはないか、新たな方法を検証しています。福祉施設の食事は、50人いれば、最初に盛り付けた料理と最後の一皿では、どうしても温度が違ってしまいますよね。味噌汁とお米くらいは、あたたかくして提供できても、もうこれは仕方ないかと諦めかけていましたが、さらにおいしい食事を目指したかった。そこで委託業者と検証し始めたのが、「クックチル方式」という方法。製造所で作られた食事を急速冷蔵して、食べるときにあたためるという最新の技術です。
小澤:あと、小鉢も取りに来ていただくようにしています。動ける人は、自分で取りに来る。利用者さんが自分の健康状態に応じて、自由に選択できること。これが実はとても大事なことだと思っています。
色々なお話をさせていただきましたが、大切なのは「本当に自分の親を住まわせたいと思えるか」ということですよね。そのために、職員にとっても居心地のいい施設を目指していきたいと思います。
丸山:私は主に人事を担当していますが、ありがたいことに、ハツラツとした方から応募をいただいています。新しいシステムの導入でスタッフの働きやすさも実現でき、相乗効果が生まれているのかなと思います。
百瀬:「タカサワ通商」が運営する各施設それぞれが、利用者さんや職員によって、多様な特色を広げていくのが楽しみですね。
小澤:「タカサワ通商」で、印刷機の修理、福祉用具の営業販売を経て、福祉事業の立ち上げに参画しましたが、知識ゼロから福祉事業の立ち上げに奔走していた私にノウハウを教えてくれた人がいます。師匠みたいな人なんですけど。その人に言われたのが、「何があっても驚くな」ということでした。福祉の世界には色々なことがある。人の生命を預かっている。死に立ち合うこともある。それでも、何があっても冷静に先を見ろ、という教えだったと解釈していますが、その教えを胸に、これからも新たな挑戦を続けていきたいと思います。
最新の機器を取り入れ、リゾートのように利用者様をお迎えするまったく新しい福祉施設です。利用者様にとっても、職員にとっても居心地のいい場を目指しています。福祉の業界で大きな負担となっている夜間の見守りには、見守りシステムを導入。センサーで健康状態を把握し、テレビ電話で通話ができる仕組みとなっていて、重度の介護から優先的にサポートしていけます。福祉の仕事に志をもち、明るく働く人が活躍する職場です。ぜひご応募お待ちしております。
業務内容
〈リゾートタウンふれあい波田〉併設のヘルパーステーションでの利用者様に対する介護業務全般となります。食事、入浴、排泄、付き添い介助などの身体面での介護業務全般 他
勤務形態:シフト制
業務内容
入居者様のお部屋清掃、リネン交換、洗濯、食事配下膳
施設内外清掃・美化 他
勤務形態:シフト制
最新のシステムを取り入れた働きやすい職場を大切にしています
介護の仕事にやりがいを感じている方。
会社の方針を理解して長く勤務していただける方。
健康的で計画的な勤務が出来る方。
仕事に責任を持ち、前向きに自分の将来を考えてる方。
明るく気持ちの良い挨拶や丁寧な言葉使いが出来る方。
目配り・気配りが出来、相手の立場を考えられる方。
家庭を大切にしている方。
タカサワ通商株式会社 本社 直通|ご応募お待ちしております。
採用担当:
タカサワ通商株式会社 業務部(総務・経理・施設統括責任者)丸山